ある晴れた、秋も終わりに近い日。
ドンタ一家に、キツツキくんが手紙を運んできてくれたのです。
「ドンタ、元気ですか、山はもうすぐ白い粉雪が降る日も近いでしょう。
お姉さんのすんでいる里は、まだ、まだ、あったかいです。
雪が降る前に、ドンタも一度里に来てみませんか。」
と書いてあったのです。
ふっと、ドンタはおよめに行ったお姉さんに会いたくなりました。
「おとうさん、おかあさん、ぼく、里に行ってもいいですか。」
すると、おとうさんはしばらく黙っていましたが、
「そうだねえ。里までは長い長い旅だけど、ドンタも一人前の男の子だから、
旅をさせるのもよかろうな――かあさん。」
「ほんとなら、三人で行きたいのだけど、おとうさんとここに残らねば、
来年、このドングリ林がさびしくなるでしょ。」
とおかあさんは、一人ごとをいっていました。