2012年9月27日木曜日

絵本『あゆちゃんのお顔』より 12



ある晴れた、秋も終わりに近い日。
ドンタ一家に、キツツキくんが手紙を運んできてくれたのです。

「ドンタ、元気ですか、山はもうすぐ白い粉雪が降る日も近いでしょう。
 お姉さんのすんでいる里は、まだ、まだ、あったかいです。
 雪が降る前に、ドンタも一度里に来てみませんか。」

と書いてあったのです。

ふっと、ドンタはおよめに行ったお姉さんに会いたくなりました。

「おとうさん、おかあさん、ぼく、里に行ってもいいですか。」

すると、おとうさんはしばらく黙っていましたが、

「そうだねえ。里までは長い長い旅だけど、ドンタも一人前の男の子だから、
 旅をさせるのもよかろうな――かあさん。」

「ほんとなら、三人で行きたいのだけど、おとうさんとここに残らねば、
 来年、このドングリ林がさびしくなるでしょ。」

とおかあさんは、一人ごとをいっていました。