第二話 『お金は一体どこに!?世にも不思議な私の物語』
数年前のとある土曜日、私は山形駅構内にある郵便局のATMで入金をした。金額をお伝えする事は出来ませんが(私にとっては大金なのですが)、通帳をATMに入れ・・・お金を入金口に入れ・・・機械が数えるお札の音に耳を傾け・・・静かに戻ってきた通帳を手にした・・・!?
私は奇妙な現象が起きた事に気が付いた。
通帳に入金したはずのお金が記帳されていないのだ。はて、入金したお金はいずこに?
私は動揺を隠しながら平静を装うも、胸のドキドキが止まらない。どうしたらいいのか思案しながら後ろを見ると、60歳くらいの女性が並んでいた。あぁ、このままでは後ろの方にご迷惑をお掛けしてしまう。しかし、大切なお金が消えたまま帰るわけにもいかない・・・。
とりあえず、ATMに備え付けの緊急電話をかける。つながらない。そうだ、今日は土曜日だ。近年の緊急電話はコールセンターにすぐにつながるのだが、その当時は土日祝日はつながりにくかった。時間ばかりが過ぎていく。後ろの方が気がかりだ。
私は諦めて帰ろうと出口へ向かった。すると、後ろから女性の声が聞こえたので振り返ると、
「何かATMから紙が出てますよ。」
と知らせてくれた。紙を確認すると、そこには『通帳を作った郵便局に出向くように』という趣旨の文章が記されていた。
私は後ろに並んでいた女性にもその紙を見せると、
「もし証人とか必要でしたら、ご遠慮なく連絡して下さい。私は入金口にお金を入れるところを確かに見ました。私が証人になりますから、安心してくださいね。」
と言って、名前と連絡先を書いたメモを私に手渡してくれた。不安で押しつぶされそうになっていた私に希望の光を与えて下さったその女性に、感謝の気持ちでいっぱいになった。
後日、郵便局に出向き事情を説明すると、局内の大きなATMで通帳を確認してもらえることになった。幸いにも口座にはちゃんと入金されていて、記帳だけがされてなかったようだ。
「こんな事って、しょっちゅうある事なんですか?」
私は我慢できず局長に質問すると、こういう事案は年に数件あるかないかとの事・・・。そうか、年に数件あるかないかの事が起きてしまったんだ・・・。
局長は最後に一言、
「お客様の磁気が強すぎて、ATMと喧嘩されたのではないでしょうか。」
なかなか面白い発想をされる局長だなと心の中で笑った。
特異体質と言ってよいかわからないが、私は普通の人よりも強い磁気をまとっているようで、機械とは昔から相性が良くない。テレビ、DVD、携帯電話(スマホ)、よく誤作動を起こす。・・・実は、ATMが誤作動を起こすのはこれが初めてではなく、何度も体験していた。その度に通帳を作り直したので、使えない通帳ばかりたまっていた。
このような奇妙な体験は私だけにしてもらいたいと思う。
大宇宙、この世の中、常にアンテナを高くしていると、身の回りには不思議な事で溢れています。ですが・・・どうか不思議な世界に足を踏み入れる際はご注意下さい。くれぐれもご自身の責任の取れる範囲内でお願い致します。