2016年6月1日水曜日

 『眠れないほど面白い!?柴の不思議な世界』 第一話




第一話 『トイレの神様が教えてくれた!?世にも不思議な私の物語』




 早朝、上山事務所に大針のバラが届いた。ピンク色の「ベルサイユ」のバラ。私はこの素敵な名前が気に入って購入した。早速私はスタッフと共に小さな庭にバラを植えた。


 小さな庭の手入れが終わり、それでは休憩でもしましょうかと事務所の2階へ。そこでスタッフが用意した水出しコーヒーを飲みながら一息入れていると、

「ザザーッ」

水の流れる音がした。今日は私と男性スタッフ2人の合計3人しかいないのだが、誰も席から離れていない。他に誰もいないはずなのだが。。。

「トイレの水が流れる音だ!」

スタッフの一人がそう言ってトイレへと駆け出す。続いてもう一人のスタッフも席を立つ。確かに私も水の音は聞こえた。でも本当にそんなことがあるのだろうか。

「あれっ、トイレの水は流れてないですね。」

スタッフが言う。確かに水の音がしたはずなのに。不思議な顔をしたスタッフ達が席に着く。

「たぶん、窓から風が入り込んで・・・その音だったのでは?」

私がそう言ってもスタッフ達は信じようとしない。それもそのはず、スタッフ達は確認していたのだ、トイレの窓が開いてなかったことを。時折、この上山事務所では怪奇現象のようなことが起こっていたので、スタッフ達は水の流れる音がしたと譲らない。

本当にそうなのだろうか、本当に宇宙からの怪奇現象だとしたら、私一人の時、ましてや深夜に水の流れる音が聞こえてきたとしたら・・・。私は背筋がゾーッとした。


 奇妙なこともあるものだと、再びコーヒーを飲み始め、しばらくすると、

「ザザザーッ」

今度は先程よりも勢いの強い水の音が。スタッフ達はすぐさまトイレへ。・・・やはり水の流れた形跡はなかった。

「私は耳がおかしくなったのでしょうか・・・。」

スタッフの一人が小声でつぶやいているのを私は聞き逃さなかった。

私は想う、私達は何が起きても不思議ではない宇宙に生きているのだ・・・と。


 私は怪奇現象を悪い事と決めつけず、今までの行動や思考を振り返り解釈するようにしている。そういえば今日はいつもと違う事があった。早朝にバラが届いて、庭に植え、そのまま休憩に入った・・・あぁ、もしかして・・・。

・・・バラというのは、環境が変わって根が張るまでの間、多くの水が必要になる。

そうだ、これだ、わかった!

トイレの神様は私に教えてくれたのだ。ついつい忘れがちな水やりをしっかりしなさいと。あなたのバラがおなかを空かせてますよ、早く水を与えなさい。

私はスタッフ達に解釈を伝えた。スタッフは、

「さすが先生、奇妙な出来事を悪い事と決めつけず、良い方向へと導いて下さる。私達には出来ない事ですね・・・。」

これはもしかして、ちょっと皮肉が混じっているのかなと思ったが、おなかを空かせているバラを待たせるわけにもいかないので、急いで庭へ向かった。全ての生き物は水が命。人間だけではなく、植物や動物への思いやりを教えられたような気がした。


 大宇宙、この世の中、常にアンテナを高くしていると、身の回りには不思議な事で溢れています。ですが・・・どうか不思議な世界に足を踏み入れる際はご注意下さい。くれぐれもご自身の責任の取れる範囲内でお願い致します。