「それはこまったね、早く土の中に入らないと風邪をひいいてしまうよ。
ほら、カエデさんだって、モミジさんだって、みんな赤い葉を落として、
ねむりに入っているよ。」
ドンタはつけくわえました。
「はい、はい、よくわかりました。
がんばって、大きい穴をさがして入ることにしますよ。」
といいのこして、のそ、のそとかれ葉の中にもぐって行きました。
三十分ほどあるいて行くと、広い、広いぼく草地に出ました。
ドンタは、おなかがすいてきたので、今朝おかあさんが心をこめて作ってくれたおにぎりを、
ここで食べることにしました。
ホウノキの葉につつんだおにぎりは、おかあさんの香りがして、
ほっぺがおちるほどおいしい味がしました。
むしゃむしゃ、むちゅうで食べたせいかおなかがいっぱいになり、ねそべって、
高い高い空をみあげながら、白い雲の流れをずーっとみつめていると、
秋空の雲の形が里の大木や、姉さんの顔や、いわなみや、きのこや、
ドングリ山のような形がいくつもいくつも流れてきて、ロマンチックな気分になりました。
と、かすかに足もとで、だれかがささやく声がしました。
なんだろうと、みわたしてみると野ウサギさん一家でした。
「どうしたの、そんな小さな声で・・・・・・。野ウサギさん。」
とドンタは声をかけました。